リフォームという選択 - 後編 -

リフォームという選択 - 後編 - - LARICH


──インタビュー後編も、よろしくお願いします。早速ですが、リフォームの実例が気になっています。

 

松本 せっかくですので、LARICHの個展でご相談いただいたリフォームの事例をいくつかご紹介させてください。

 

LARICHの既存コレクションを踏襲したリフォーム

CINQやART DECOなど既存モデルのデザインコンセプトを維持しながら、ルースのサイズを変えて一から設計しました。

CASE 1
CINQ RING - SPECIAL EDITION
K18YG Brown Diamond with Grunberger Diamond

一文字タイプのブラウンダイヤモンドリングをCINQ RINGへリフォームしました。CINQのメインストーンは通常全て3mmサイズなのですが、こちらは元のリングにセットされていた3.6〜3.7mmサイズのブラウンダイヤモンドに合わせた特別仕様です。脇石のダイヤモンドや枠全体のバランスを整え、一から設計・製作しました。高級感がさらに増して、とても良い仕上がりです。メレダイヤには全てグランバーガーダイヤモンドを使用しています。


元のリングにセットされていたブラウンダイヤモンドを石外しして、メレダイヤの最適なサイズや全体のバランスなどを丁寧にシミュレーションしました。


CASE 2
ART DECO RING 5.5mm
PT900 Diamond with Grunberger Diamond

婚約指輪のリフォームがきっかけで誕生した新作「ART DECO RING 5.5mm」。センターストーンのサイズに合わせて、オリジナルのART DECO RINGを再設計しました。日本を代表するブランドリングに留められていた抜群に美しい5.5mmサイズのダイヤモンドをセンターへ配置し、脇石には24ピースのグランバーガーダイヤモンドを全て丁寧に彫り留めしています。量産モデルながらもデザイン画の品質を担保すべく、細部の石留め、磨き仕上げにまで徹底的に神経を注いだ、丁寧な詳細設計と原型製作を行っています。


全くの新規デザインでお作りしたリフォーム

お持ち込みいただいたルースをもとに、新たなデザインを一から設計しました。

CASE 3
BIANCA GRACE
K18YG Ruby with Grunberger Diamond

お母様から譲り受けられた、ルビーリングのリフォームがきっかけで誕生した新作「BIANCA GRACE(ビアンカ グレイス)」。こちらはLARICHの新作として一からデザインをおこして、原型から製作しました。

センターストーンにはリフォーム対象の6.5x4.5mmのルビーをセットし、28ピースのグランバーガーダイヤモンドは全て丁寧に彫り留めされています。花びらの形状にもこだわっており、シンメトリーなデザインなだけに、パッと見ただけでも作りの良さ、加工の精度の高さがお分かりいただけると思います。


CASE 4
AQUAMARINE & DIAMOND NECKLACE

PT900 Aquamarine with Grunberger Diamond

こちらは1点もののジュエリーとしてリフォームさせていただきました。お母様から譲り受けられたアクアマリンを何年もリングとして身につけられていましたが、今後はネックレスとして胸元で大切に身につけられたいとのご相談でした。ご家族に所縁のある沖縄のミンサー模様をメレダイヤで表現したデザインです。全てのメレダイヤにはグランバーガーダイヤモンドを使用しランダムに揺れる設計にしていますので、アクアマリンと呼応して海の水面のような、美しい煌めきを放ってくれます。


──既存のLARICHのコレクションのデザインに、持っているルースを使用することもできるのですね。

 

松本 はい、可能です。ただ、デザインが同じといっても、メインストーンのサイズや形によっては一から設計する必要があるため、その場合はオーダーメイドと同じ扱いになります。もしルースが既存モデルの枠に綺麗にフィットすれば、原型を使用してスピーディかつコストを抑えた製作が可能となります。

 

──ベースのデザインが同じでも、ルースが変わると全体の印象も変わりますね。

 

その通りだと思います。ルースのサイズに合わせて単純に拡大・縮小してお作りすれば良いというわけではないので、それぞれのルースに合わせて最適だと思えるデザインへと丁寧に再設計します。

 

──プロの視点で設計していただけると心強いです。これから初めて依頼しようと考えている方に向けて、リフォームの流れを教えてください。

 

松本 記事ではわかりやすく整理して書いてほしいのですが、ジュエリーのリフォームは、大きく4つのステップで進みます。

 

1. ヒアリング・ご相談

まずはお手持ちのジュエリーや宝石を拝見し、使いづらいと感じる点やお悩み、ご希望のデザインの方向性などを丁寧にヒアリングします。ジュエリーにまつわるストーリーや、普段のお召し物、使いたいシーンなども参考にしながら、ご提案のベースを組み立てます。LARICHの個展会場や実店舗での対面でのやり取りのほか、SNSのDMやメール、LINE公式などオンラインでも随時対応しています。

2. 製作方法の選定

ヒアリング内容をもとに、お好みのデザインやご予算感に合わせて、既製枠を使用するのかフルオーダーにするのかを決めます。

(1)既製枠を使ったリフォーム
既存のジュエリー枠を活用して石をセッティングする、効率的なリフォーム方法です。コストを抑えられ、比較的短納期で仕上がるのが特徴です。ルースのサイズさえ合えば、LARICHのジュエリーコレクションにもセッティングが可能です。

(2)フルオーダーでのリフォーム
お好みに合わせて、一からデザインを起こしてお作りするリフォームです。使用する金属の質感、石の配置、細部の装飾まで全て自由に設計が可能です。特別なタイミングでご自身へのご褒美ジュエリーとしてオーダーされる方も多いです。

3. デザイン提案・お見積り

その場でスケッチを描いたり、CADによるシミュレーション画像をお見せしながら、完成形をイメージしていただきます。デザインにご納得いただけるまで何度もやり取りを繰り返します。追加で調達する宝石、金属の種類や作業工程などを踏まえ、お見積りを事前にご提示いたしますので、安心して進めていただけます。

4. 製作・ご納品

熟練の職人が一点ずつ丁寧に製作を行います。製作期間は、既製枠使用で約3〜4週間、フルオーダーで約3か月〜半年ほどが目安です。完成後は対面でのご納品か、配送にて大切にお届けいたします。

ちなみにリフォームのことをリモデルと呼んだり、リメイクと区別して呼び分ける場合もありますが、私はもっとも一般的に使われているリフォームという呼び方を使用しています。

 


──全体の流れが理解できました。オンラインでも相談できるのはうれしいです。

 

松本 個展や実店舗へのご来店が難しい場合も、オンラインでお気軽にご相談いただければと思います。必要に応じて画像や動画をお送りしながら丁寧に進めてまいります。

 

──ヒアリングから納品まで、丁寧にやり取りしていただけるので、安心感がありますね。インタビュー後編は以上です。一つひとつのリフォーム事例に個性があって、とても印象的でした。本日もありがとうございました。

 

個展でのリフォームやお修理、オーダーメイドの相談をご希望の方は、事前ご予約がおすすめです。

 

LARICH個展予約ページ

https://www.larich.info/

 

 

 

ライター:南口太我

その他の投稿